第72話「マル・アデッタ星域の会戦(後編)」

帝国軍の大艦隊を手玉にとり、一時優位に戦っていた同盟軍であったが、帝国軍の擁する兵力や物量の差には勝てず、次第に攻守が逆転する。恒星風を受けたアイゼナッハ艦隊の隙間を突きブリュンヒルトへと迫ろうとする同盟軍だったが、ミッターマイヤー艦隊、そして遅れて戦場に現れたビッテンフェルト率いる黒色槍騎兵艦隊に阻まれ、ついに戦力がつきてしまう。ヒルダに再三、降伏勧告を出すことをもとめられたラインハルトは・・・。

 

フランツ・フォン・マリーンドルフ  フランツ.jpg

声・・・中村 正(らんま1/2のナレーション、チャーリーズエンジェルのt

ヒルダの父。爵位は伯爵。カストロプ動乱の際、親族につながるカストロプ公爵の説得を試みるが逆に捕らえられ、討伐軍のキルヒアイスに救出される。非主流とはいえマリーンドルフ家は門閥貴族の一門であり、リップシュタット戦役では中立を望みながらもどちらの陣営につくべきか当主として逡巡する。しかし、時代の流れを読んだ娘のヒルダに説得される形で、最終的にラインハルト側につく。これが帝国の貴族社会に与えた影響は少なからぬものがあった。
ラインハルトが皇帝に即位すると、その誠実で公明正大な人柄によりローエングラム王朝の初代国務尚書に就任。ほどなく甥のキュンメル男爵によるラインハルト暗殺未遂事件が起こり、皇帝主席秘書官となっていたヒルダと自主的に謹慎。しかしラインハルトはマリーンドルフ親子に一切の類罪を認めず、謹慎をすぐに解かせた。オーベルシュタインは、大逆犯の累系を一族処刑か流刑に処する旧王朝の慣例に沿った処断を求めたが、ラインハルトは一蹴している。
翌年ヒルダが妊娠し、皇太子の祖父と言う立場の人物が宰相級の地位にいてよい結果を出した例は一つもないことから、国務尚書職の辞任を望む。しかし、ラインハルトに慰留され、物語の完結まで国務尚書を務めた。自分の後継に軍人であるミッターマイヤーを推薦している。
キュンメル男爵家の財産を、病弱な甥に代わり公平に管理したことでも有名。その誠実な人柄がラインハルトのみならず、ミッターマイヤーら軍人からも厚い信頼を受けた。温厚で誠実な以外はやや凡庸な人物として周囲に思われており、国務尚書の地位に就いたのも「娘の七光り」と評価されている。しかし、ヒルダを保守的な貴族社会の中で貴族令嬢の型に入れず育てあげた見識や、求婚にあたって動揺するラインハルトとヒルダを落ち着かせた風格、そして国務尚書という大役を立派に務めるなど、常識人としては卓越した才覚を随所で発揮していた。