第105話「昏迷の惑星」

ラグプール刑務所に収監されていた旧惑星同盟政府関係者が、何者かの扇動により暴動を起こした。互いに反目するオーベルシュタイン直属の憲兵隊と黒色槍騎兵艦隊がその制圧にあたったために指揮系統が乱れ、多数の死傷者を出す結果となってしまった。惑星ハイネセンに到着したラインハルトは、政治犯を解放し、改めてイゼルローン共和政府に和平交渉おための招聘を行い、ユリアンらは虜囚ではなく使節としてハイネセンへと赴くことになった。

 

ブルース・アッシュビー      ブルース.jpg

声・・・風間杜夫{風立ちぬの里見、X-FILEのモルダーなど)

第2次ティアマト会戦における同盟側の宇宙艦隊司令長官。この時点での階級は大将。宇宙暦710年生まれ。同730年6月士官学校を首席卒業。同期の卒業生の優等生グループがそのまま彼の幕僚となった為、この一群を「730年マフィア」と呼ぶ場合がある。第2次ティアマト会戦の終盤に旗艦ハードラックの艦橋が被弾し死亡。35歳。死後、(生きていれば)36歳で元帥に昇進した。彼の戦死した12月11日は戦勝記念日としてハイネセンでは休日となっている。
アルフレッド・ローザスによると、戦機を見るのが比類ないほど巧みであった。後世から見ると、乏しい情報でよくもあれだけの戦術的判断を下したものだと評されている。戦争では連戦連勝を重ねたが、それらはあくまでも戦術上の功績によるものであり、戦略的、政略的に意義のある功績は無く、アッシュビーの活躍が帝国と同盟の関係に何らかの影響を及ぼしたとは言えないとされている。また、イゼルローン回廊に要塞を建設する構想があり、基本計画案を国防委員会に提出したことがあったが、艦隊の強化案と引き換えに要塞構想を破棄した(その後、帝国軍によって同回廊にイゼルローン要塞が建設された)。そのためローザスは「戦略家ではなく、戦術家」と評している。
帝国との長年にわたる戦争の中で出現した軍人の中でも、とりわけ英雄として扱われており、数々の伝記や映画が製作されている。アニメ版では、ヤンがコンピューター検索を実行したら、書籍で123件、テレビドラマと映画で12件が該当した事になっている。 かなり長身で均整の取れた外見を有しているとされている。
天才ではあったが非常に尊大で態度の悪い性格だったようで、勝つたびに挑発的な電文を発しては帝国軍からの憎悪を招いた(個人的な憎悪を招くことで帝国軍幹部を挑発、理性的な対応をないがしろにさせていたとヤンは評している)。しかしその性格の悪さは味方にも向けられ、政府や軍上層部には評判が悪く、第2次ティアマト会戦直前においては730年マフィアの仲間たちでさえ我慢出来なくなっていた。女性関係が派手で、2度結婚し、2度離婚している。その他、愛人や情人は一個中隊の人数ではきかないとされる。
外伝「螺旋迷宮」では、ブルース・アッシュビーが謀殺されたという投書があり、ヤンが調査を行ったがその矢先調査が中止になってしまう。一方、元帝国軍人で同盟の捕虜(そして本会戦の生き証人)のクリストフ・フォン・ケーフェンヒラー大佐は、独自の立場から単身調査を進めていた。その結果、大佐はアッシュビーが帝国軍内の秘密組織から情報を流してもらい、それを元に功績を立てていた可能性を突き止めた。アッシュビーは流れてきた玉石混淆、というより石の方が多い屑ネタの山から「玉」を見抜き、それを元に的確な判断を下す、情報という生き物を扱う名人だったという結論である。しかしその資料を見たヤンの見解はあくまで大佐の仮説にすぎないという慎重なものであった。そして、結局すべてはB級重要事項として今後25年間封印されてしまった。

2015年7月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31